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酵素剤酵素事業の歴史

三菱ケミカルの酵素事業は2007年に食品機能材事業の一環として当時の三共から継承したもので、さらに遡れば1894年、高峰譲吉博士が世界で初めての酵素としてタカヂアスターゼを発見し三共商店を設立したことに端を発します。三共の酵素事業は高峰譲吉博士のチャレンジ精神とともに三菱ケミカルに引き継がれました。元々三菱ケミカル自身、エリスリトールで培った発酵などのバイオ関係技術は保有していますが、商材として酵素を持っていませんでした。2つの会社が合わさったことで、シナジー効果が大きく期待される商材として酵素を1つの目玉と位置づけています。

※三共(株)の食品用酵素事業は2007年より三菱ケミカル(株)に引継がれています。

沿革

1894年

金沢ふるさと偉人館提供

高峰譲吉、アメリカで麹菌から強力消化酵素タカヂアスターゼを発見し特許を取得

1895年 高峰譲吉、タカヂアスターゼを消化酵素剤として米国で商品化
世界で初めて微生物に由来する酵素製品の産業化に成功
1898年 塩原又策、高峰譲吉と強力消化酵素タカヂアスターゼの委託販売契約を締結
1899年 匿名合資会社三共商店を設立しタカヂアスターゼの輸入試売を開始
三共(現:第一三共)の創業
1914年 三共によるタカヂアスターゼの国産開始
これがわが国における酵素工業の始まりといえる。この製造方法は高峰譲吉が日本の酒、味噌、醤油などの発酵食品に使われる麹の製造方法を工業化したもので、麹培養法あるいは固体培養法と呼ばれる酵素の大量培養法の1つである。この固体培養法は後に昭和30年代になって、コウジカビやクモノスカビなどによるアミラーゼ類の大量培養へ発展する。
1954年

三共、わが国で最初にペクチナーゼを製造販売。
ペクチナーゼの主な用途は、ペクチン含量の多い果実の加工用で、特にブドウ、リンゴ、柑橘類などの果汁清澄によく利用されている。リンゴ、ブドウなどの果実は粘稠性のペクチンを大量に含んでおり、搾った果汁の粘度が高く、濁った状態にあるのはペクチンに原因がある。破砕した果実にペクチナーゼを加えると、ペクチンが分解されて粘度が下がるので、搾汁操作が楽になるだけでなく、澄明な果汁が得られる。

1960年 果汁清澄用可溶性スクラーゼ™の製造販売開始(現在のスクラーゼ™シリーズ)
1963年 三共ナリンギナーゼの製造販売開始(現在は生産終了)
1964年 柑橘果汁用清澄剤可溶性スクラーゼ™Sを発売
1964年 東京大学の山田浩一との共同研究によりタンナーゼの製法特許を出願し、1965年以降、ビール会社各社、飲料会社、食品会社にサンプルを提供し、応用試験を進めた。
1969年

清酒用酵素剤コクラーゼ™・G2、コクラーゼ™・Mを発売

1970年

ショ糖転化酵素製剤インベルターゼ三共を発売

1975年 タンナーゼの製造販売を本格的に開始

現在、タンナーゼは、紅茶飲料のほか、コーヒー飲料、緑茶飲料やワイン、果汁加工品に利用されている。
タンナーゼは、紅茶のクリームダウン(紅茶を冷やした時の濁り)を防止することを目的として開発された。1970年代に入り缶入り紅茶飲料が世界で初めて工業化されたが、この成功はタンナーゼの利用によるものである。その後、コーヒー飲料やワイン、果汁加工品などにも利用されるようになり、その用途は広がっている。

1980年

デキストラナーゼの製造販売を開始
デキストラナーゼは、虫歯の原因となる歯垢の主成分(デキストラン)を分解除去して虫歯が生育しにくい環境をつくる。1980年7月、三共は微生物由来のデキストラナーゼを世界に先駆けて工業化した。

1982年 飼料用キシラナーゼ・ペクチナーゼ複合酵素の製造販売開始
1999年 レシチン分解酵素ホスホリパーゼA1を開発し、発売開始
2001年 デキストラナーゼのフランス登録申請(製糖工業用)
2007年 三共(株)の食品用酵素事業を取得
2009年 酵素メーカー、エイチビィアイ(株)(本社:兵庫県)との資本提携を開始
2021年 三菱ケミカル株式会社に統合

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